その昔、っていうか15年位前の話。 小学校にちょっと頭が弱くてやたらと力の強い男子がおりまして。 家で飼ってる小鳥を掃除機で吸ったり、給食のごはんを机に塗りたくったり、少々奇行癖はある彼でしたが、別にいじめられているわけでもなく、それなりに友達もいたようです。 私は彼の事を別に好きでも嫌いでもなく、まあどうでもいいクラスメイトの一人でした。 でも、たぶん自分でも気づかないうちに、私は彼を見下していたのです。 自分より劣った人間だと思っていたのです。 全てにおいて。 私にとって彼は、虫けら同然だったんです。 だからあの日、図工室で、たまたま私の足元にしゃがんで何かを探していた彼を、蹴ったんです。 いや、蹴ったって言っても、足がちょっとぶつかった程度。 というか、人間を蹴ったという感覚ではありませんでした。 足元に物が落ちてて邪魔だから、足でどかそうとした、そんな感じ。