小ぐまさんは大変泣き虫でした。朝から晩まで、泣いてばかりゐました。 ある朝、目を覚まして、お床のなかでじつとしてゐますと、ふいに、鳥小屋のにはとりが「コケコツコー。」となきました。それをきいて、小ぐまさんは、つい、貰(もら)ひ泣きをしました。が、気がついて見ると、自分ながら、あまり馬鹿々々(ばかばか)しいので、かう決心しました。 「にはとりのくせに、なくなんて生いきだ。」 そして、鳥を野原の真中(まんなか)へもつて行つて、逃してしまひました。それからといふものは、いままで、毎朝食べてゐた、おいしい卵を食べることが出来ないので、小ぐまさんは、一日五十匁(もんめ)づゝ、やせてゆきました。 或(あ)る時、いつもなる、時計が、時を打ち初めましたが、あひにくと、十二打ちました。がまんのならない、長さです。それで、小ぐまさんはいやになつて泣きだしました。そして、あとで腹を立てて、たう/\村の古道具やへ