一人の日銀マンが突如、アフリカの小国ルワンダの中央銀行総裁に。着任早々、面会した大統領からは金融政策のみならず、国民経済全体の再建を託される。植民地時代からのさまざまな利害がからみ合う中で、あくまでルワンダ国民の立場から、次々と改革を進めていくさまは、「サムライここにあり」と喝采したくなる。日本は内向きになったといわれる今こそ、本書を手に取りたい。 日銀マンに白羽の矢 今、日本では「援助疲れ」という言葉があいさつ代わりになっている。他国を助けるほどの国力は日本には残っていない。援助しても相手国の経済発展には役立たない。訳知り顔の物言いがネット空間にこだましている。だが、そもそも援助とは何なのだろう。今から半世紀以上も前、経済立て直しのために、アフリカ中部の小国・ルワンダに乗り込んだ人物がいる。当時、日本銀行の職員だった服部正也(1918~99年)だ。彼の手記が『 ルワンダ中央銀行総裁日記