今回の「米中戦略・経済対話」では米国の後退をまざまざと感じさせられた。米国のオバマ政権が中国を国際社会の普通の一員として懸命に招き入れようとするのに対し、中国は傲然(ごうぜん)と構え、独自の道を強調し、米国側に人権についての説教までする、というふうなのだ。 同時に、米中両国がいくら協調をうたってみても、なお深い断層が間に横たわることが印象づけられた。対話をすればするほど両者間の距離の遠さが裏づけられるという外交上の皮肉な現実だとも言えよう。米中関係の動きで国運さえも左右されるわが日本にとっては、今回の米中対話の展開は特に教訓が多かった。 米国と中国の戦略・経済対話は7月10、11の両日、ワシントンで開かれた。中国側は汪洋副首相を筆頭とする大型代表団を送りこみ、米国側はジョセフ・バイデン副大統領、ジョン・ケリー国務長官、ジャコブ・ルー財務長官らが協議に応じた。 米中戦略・経済対話では米中両国