その方法は手の形を変えるだけ。「鷹取の手」と呼ばれる形にすると、横隔膜が自然と下がり、精神的に上がらなくなるという。 「呼吸がゆったりした状態の身体でありながら、気持ちだけが怖いということはありえない。指の形を変えることで、恐怖の感情が起きそうになっても身体の側から押さえ込むことができるのです」 指導の場は武術にとどまらない。身体をひねらない日本古来の「ナンバ歩き」の動作を取り入れた指導で東京都内の高校バスケットボール部を強豪校に変えるなど、ナンバブームの仕掛け人としても知られる。 「うねらない、ひねらない、踏ん張らない」。提唱する身体操法はスポーツの常識とかけ離れている。腰をひねらなければ投げられない、足を踏ん張らなければ、走れない。一体どういうことなのか。現代スポーツにはない動き もともと武術は、生と死を分ける究極の場面から生まれた。斬られるか、かわせられるか。頭上に振り下ろされた剣か