『ハンターハンター』をはじめて読む人と話す機会があった。私のほうは何度も読み返している漫画である。展開から何から熟知している。しかし向こうはまだ何も知らない。完全な初読として楽しんでいるようだ。 こうした場合、ネタバレの誘惑と戦うことになる。自分の中には、この漫画への熱い思いがある。それを制御して、ネタバレに配慮しながら会話することは難しい。先の展開を言いたい。この人がまだ読んでいない部分のことだって気にせずに話してしまいたい。しかし私もいい大人である。ネタバレの誘惑に耐えるのが大人の証明だ。深呼吸して落ち着いて、「どのへんまで読んだ?」とたずねる。 「今ちょうど、アリの化け物が出てきたあたりで……」 キメラアント編である。私の一番好きなシリーズだ。その事実が私の心を決壊させた。反射的に言ってしまった。 「キメラアント編の結末が、完全にaikoなんですよ!」 すぐさま自己嫌悪に陥った。完全