カキ養殖が盛んな広島で、採苗(さいびょう)(種付け)の不調が続いているのを受け、広島県は新年度から水質などの本格調査に乗り出す。 瀬戸内海がきれいになって餌になるプランクトンが減る「貧栄養化」が一因とみられており、分析結果を基に対策を検討する。 「瀬戸内海がきれいになっても、『死の海』になっては意味がない」。広島湾でカキの養殖業を営む島田俊介さん(53)(廿日市市)は、危機感を強める。 採苗は、夏場にいかだにつるしたホタテの貝殻を沈め、海中に漂うカキの幼生を付着させる作業。県内では年末から今の時期にかけて水揚げし、生産量は全国の6~7割程度を占める。 しかし、1990年代以降、採苗がうまくいかない年が増え、県内全体で今年度に確保できたのは必要量の5割程度。やむを得ず、宮城県など他の産地から、ある程度育った稚貝を購入する業者も出ているという。今のところ出荷価格に影響は出ていないが、購入コスト