漢字には多数の字義をもち、字義に応じて複数の字音を使い分けるものがある。例えば、「易」は「たやすい」の意味では「イ」、「変える」の意味では「エキ(漢音)・ヤク(呉音)」となる。このような多音字において、字義に対する字音を取り違えて使われるものがある。例えば、「罷」は「つかれる」の意味では「ヒ」、「やめる」の意味では「ハイ」であるが、罷免などは「ヒメン」と読み、「ハイ」ではなく「ヒ」が使われている。このとき「やめる」の意味に対する「ヒ」という字音は慣用音とされる。 また漢字の入声(語末の破裂音)[k][p][t]のうち、[p]は後続語の語頭子音が破裂音や摩擦音である場合を除いて、母音挿入され「フ」とされた(「フ」の子音はもともと[p]であったと推測されている。)。例えば「蝶(テフ)」。しかし、その後、「フ」の子音は[ɸ]に変わり、さらに後には語中・語尾のハ行はワ行へと変化した(ハ行転呼)。こ