■「とやかくは言わないが、もっと勝負してほしいな」 皆さん、“北方三国志”と呼ばれる、隠れた(?)大ベストセラー小説をご存じだろうか? その名のとおり、ハードボイルド作家・北方謙三氏が書いた『三国志』のこと。1996年から約2ヵ月に1冊のペースで発行された全13巻という大河小説で、累計売り上げ500万部を超えるロングセラーなのだ! 『三国志』といえば、横山光輝の漫画か吉川英治の小説を思い浮かべる人も多いかもしれないが、“北方版”が人気となったのには理由がある。“横山&吉川三国志”の原典となっているのは、比較的脚色性の強い『三国志演義』って本だ。一方の“北方三国志”は基本的に、史実に忠実であるといわれている『正史三国志』に沿ってストーリーを展開。加えて、節ごとに主役が変わる重要登場人物の描写を“一人称視点”で深く掘り下げて表現し、ハードボイルドテイストに仕上げている。これがファンに絶大な支持