「イクメンになるのが当然」。そんな世の中の流れの裏で、勤務先の理解を得られず傷つくパパたちがいる。価値観の違う「仕事最優先」の上司と、どう向き合うべきか。キャリア形成とのバランスを含め、改めて考えてみたい。 「会社に刃向かった結果なんだから文句はないよな」 2月上旬、東京都内の大手電機メーカーに勤める男性社員(36)は、上司からオフィスと同じ階のトイレに呼び出され、A4判1枚を二つ折りにしたコピー用紙を突きつけられた。インターネットで検索された東北地方にある子会社の周辺地図。右上に青いペンで「5月1日付」と書いてある。「分かりました」とだけ答え、その簡素で冷たい「通告書」を受け取ると、ズボンのポケットにねじ込んでから立ち去った。 もともと男性は製品の開発・設計が専門。入社から休日返上、サービス残業は当たり前で働いてきた。「とにかく出世したかった。同期には『そこまでして役員になりたいのか』な