患者が自らの体内に毒薬を入れ、自死に至る。自殺幇助(ほうじょ)が合法化されているスイスで、ジャーナリストの宮下洋一氏は、スイスの自殺幇助団体ライフサークル代表のプライシック女医(58)に「色んな人を取材し、様々な考えに触れなさい」と取材協力を約束された。『SAPIO』(2016年5月号)掲載の宮下氏のルポルタージュから、あるスウェーデン人女性の死に立ち会った部分をお届けする。 * * * 前号(『SAPIO』2016年4月号)で紹介した英国人老婦の死から1週間を経た2月上旬、またしても、女医から取材機会を与えてもらった。今度はスウェーデン人女性、68歳。 「これだけは、はっきりと言えるわ。まさかこの年齢で死を迎えるなんて、考えたこともなかったって。それ以前に病気とは縁がなかったんですもの。けれど死が怖いんじゃないのよ。この耐えられない痛みとともにじわじわと死んでいくことが、私には恐怖なの」
![安楽死選んだ女性 最後の16時間の一部に密着](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/6145fd89de11a1ee170887527c019e3cb41ed2ac/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.news-postseven.com%2Fuploads%2F2016%2F04%2FP103bunnu.jpg)