年金記録を社会保険事務所が死後28年間も発見できず遺族年金の支給が遅れたのに、時効を理由に5年分しか支給しない国に対し、兵庫県内の60代女性が残り23年分も支払うよう求めた訴訟の判決が29日、大阪地裁であった。田中健治裁判長は「発見が遅れたのは社保事務所の違法な取り扱いが原因で、時効の主張は許されない」として未払い年金約2200万円の支払いを命じた。 判決によると、女性の夫(当時31)は兵庫県の工具製造会社に勤めていた1981年に死去。女性が85年以降、兵庫県明石市の明石社保事務所(現・明石年金事務所)などに10回ほど年金記録を照会したが、「記録がない」と回答された。09年に自身の年金相談をした際に記録が見つかり遺族年金支給を申請したが、社会保険庁(現・日本年金機構)は04年3月分以前は会計法上の時効(5年)だとして支給しなかった。 判決は、「夫の年金手帳を社保事務所に持参していた」とする