「まるで自動車ドライバーに必要のないオイル交換を勧めるような手口だ」――。島津メディカルシステムズ(大阪市、以下島津メディカル)が医療用X線装置の故障を偽装して8300万円以上の修理費用を売り上げていた問題について、品質不正に詳しい専門家はこう例える。「製造業の不正と言えば、やむにやまれず高品質であるかのように見せかける場合が多い。今回の不正は、あえて製品の品質を落としたという意味であまり前例がない」(専門家)。 島津メディカルによる不正は2022年4月に内部通報で発覚した。親会社の島津製作所が2023年2月に公表した調査報告書によると、同様の不正は2009年ごろから続いていた。本稿では同報告書と取材を基にその概要を見ていく1)。 タイマーで経年劣化装う不正、営業所長経験者らが関与 舞台となったのは、島津メディカルの九州支店。同支店の営業所に所属するサービス技術者が医療機関のX線装置を点検