アダム・スミスの信仰 アダム・スミスさんの主要著書は『道徳情操論』と『国富論』。 前著は自己の内に公平な観察者の視点をもって他者への同感・共感を顕彰する一方、後著では個人の利己的な振る舞いにもおかまいなしに経済は好転していくのだからと自由放任主義を称揚しているようで、およそこの二著が同一人物によって書かれたとはおもわれないほど隔たったものであるかのように受容されてきました。 しかしやはりこの生涯にわたり手を入れ続けられた唯一の著書、終生改定につぐ改定により修整され続けた二著には密接なつながりがあるようにおもわれます。 また、主著ということもありますし経済社会を広範に分析しているという性格も相まって、『国富論』は『道徳感情論』より重宝されてきました。 しかしだからといって『国富論』は『道徳感情論』よりも優れているだとか、有益であるだとか、そういったところは微塵もないばかりか、『国富論』のベー
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