映画『ラ・ラ・ランド』で『第89回アカデミー賞』6部門受賞となったデイミアン・チャゼル監督の最新作『バビロン』が、今年2月より公開され話題となっている。物語の舞台は「ゴールデンエイジ」とも呼ばれた1920年代のハリウッド黎明期。サイレント映画からトーキー映画へと移り変わる時代、映画業界で夢を叶えようとする男女の出会いと別れを主軸としつつ、さまざまな登場人物の人生が交差する壮大な群像劇だ。 豪華絢爛な1920年代ファッションや、毎晩繰り広げられる猥雑なパーティー、スケールの大きな映画撮影など見せ場を過剰なまでに盛り込みながら、産業化していくハリウッドが取りこぼした狂乱を「これでもか」といわんばかりに見せつける。なかでもチャゼル作品の常連ジャスティン・ハーウィッツが手がける音楽は、ジャズやラテン、オペラに電子音楽など異ジャンルどうしの頻繁な接触のなかで、カオティックかつエネルギッシュに進化して