青年を使い捨てにする請負労働が広がっています。「給料がよくて、楽な仕事がある」といって、労働者を送り込み、徹底的にこき使う、たこ部屋といわれる実態をリポートしました。 (酒井慎太郎) 正社員をめざしたものの、結局は請負以外に仕事がなかった岐阜県の男性(35)。会社が借り上げていた富山県黒部市のアパートの一室に住み込み、市内のYKK工場で働き始めました。アパートの住所も教えられず、昼休みと午前、午後の十分間の休憩以外は立ちずくめの作業でした。 十一日目の朝、体が動かず「とても仕事につけない」と欠勤を申し出ました。 「てめえー、ここは学校じゃない。社会なんじゃ。何考えとるんや」。営業担当者がどなり込んできました。 男性は「こんな使われ方は耐えられない」と翌朝、退職を伝えました。実際に働いたのは十日間でした。 振り込まれた給料は、たった三万―四万円でした。欠勤のペナルティーで日給九千円が六千円に