エントロピーの法則だけに従えば、世界は停止しつつある。 なぜこの宇宙には秩序や構造があるのか?その創造はなぜなされるのか? 原子は放っておけば、無秩序に向かうとされるが、実際には放って置かれている原子などあるのだろうか? どこかおかしい…… 少なくとも生物学的な世界はますます成長し組織を失うのではなく、より組織化されつつあるではないか! こうした疑問を持ち続けた化学者がいた。イリヤ・プリゴジンである。物理学と生物学、可逆な時間と不可逆な時間、秩序と無秩序、偶然と必然を一つの枠組みにいれてその相互関係に注目するとき、雄大な理論が作られた。それは議論にあたいするのは当然だが、この場合はさらに強力で威厳のあるものとなった。彼はその研究である「散逸構造論」で1977年にノーベル化学賞を受賞した。相対性理論、量子論以来の最重要科学的発見とされている。 ニュートンのモデルも当時の知的ゆらぎから派生した