92歳の作家・佐藤愛子氏のエッセイ『九十歳。何がめでたい』が20万部を超えるベストセラーになっている。 同書は、佐藤氏が90歳、卒寿を迎えた際、「まあ!おめでとうございます」と祝福され、表向きは「ありがとうございます」と返事しながらも内心は〈卒寿? ナニがめでてえ!〉(以下〈 〉は同書より引用)。と思っていたエピソードを皮切りに、世の森羅万象を女性目線でぶったぎった痛快なエッセイ集である。 世の男性はこの本をどう読んだのか。 脚本家のジェームス三木氏(81)は、「90代の佐藤先生に比べれば若輩の僕がいうのはおこがましいですが……」と前置きしつつ、同書が描き出す「高齢者になってわかる、体の衰えへの哀しみ」に共感したと話す。 「本の中に〈まるで忍びの兇賊か、はたまた幽霊かという趣でスーと横に現れる。『危いじゃないですか』といおうとしたら、その前に『危いじゃないのっ!』と怒鳴られる〉という、耳が