サイレンとともに隊員が2階からすべり降りる‐。映画やドラマに登場する「滑り棒」が、兵庫県加古川市消防本部の中央、東の2消防署で使われている。調べてみると、全国的に撤去が進む中、県内で現役はこの2カ所だけ。一方、同本部の南分署では滑り棒があるのに使っていない。何が基準なのだろう?。(安藤文暁) 【写真】いざ出動、滑り棒の入口 中央署を訪ねると、2階事務室の2カ所に扉を見つけた。開けて下をのぞくと「高い!」。棒の長さは6・5メートル。隊員が降りる時間はわずか1秒という。 「けがへの配慮」「階段の方が速い」などと全国で廃止が進む滑り棒。しかし同署では下にマットを敷き、順番待ちで時間がかかる場合は階段を利用する。そうまでして使う理由について、橘政幸副署長が教えてくれた。 「庁舎が南北に長いのに、北端にしか階段がないんです」。庁舎幅は35メートル。2階から1階車庫まで最長で約70メートル走るこ