一般家庭の消費を見ると、モータリゼーションが始まり、テレビも液晶やプラズマの薄型テレビへの買い替えが増えている。同時にブームとなっているのが、マイホームの購入。北京や上海などの主要都市では、床面積120平方メートルのマンションが1500万~2000万円の高値で売られている。 ちなみに、人民元の価値を購買力平価(PPP)で再評価すると、現在の為替レートの10倍になる計算である。したがって、主要都市で売られている不動産のほとんどは「億ション」ということになる。 一方、中国人の家庭の所得を見ると、夫婦共稼ぎが一般的だが、毎月の収入は平均して1万元(14万円)以下が多い。年収の10倍以上ものマンションを購入するのは、一体どんな人たちなのか。中国人の消費行動は謎だらけである。 所得を押し上げる謎の「陰性収入」 謎に包まれる都市の家庭の消費行動を明らかにするには、その収入の実態を解明する必要がある。
高橋 初めに申し上げておくと、僕はいわゆる中国専門家ではありません。あくまでも農業の専門家、食料の専門家です。多くの中国専門家は中国そのものを研究していますが、私は中国という国を研究しているのではなく、中国で生産されている食料について、農作物を実際に作っている農民について、さらには、どういう農地を使って農業をしているか、どのような生産をしているか――といったことを研究しています。 中国の農業を本格的に研究し始めたのは15年ほど前になりますが、それまでも様々な国の農業を研究してきました。日本はもちろんのこと、アジアや米国、ヨーロッパなどで農民に話を聞き、農業の実態を調査してきました。私の関心事は、日本で消費している食料がどのように作られているか、農民がどのように食料を作っているか、その暮らしぶりはどうなっているか、というところにある。 ―― 中国の農業を研究しようとしたきっかけはどこにあった
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