子どもの頃、たまに東京と言う都会に出てくると、「田舎っぺ」な自分がみじめだった。1両もしや2両編成のヂーゼルカーを乗り継いでやって来ると、あっちもこっちもの人混みにキンチョーした。祖父が東京に住んでいたので、いつも沢山のお土産を抱えて訪れた。野菜だったり、母が編み物をするので、それを知って父方の叔母たちが注文をする洋服だったり。幼い私は、母の後ろを歩き、混雑した駅のホームで、母がポトっと落とした荷物をパッと拾った事がある。小姑たちのためにせっせと仕上げた編み物だった。母に痛く感嘆されたっけ。 東京で暮らし始め、便利さには目を剥いた。田舎の実家には車がなく、交通手段は、徒歩か自転車かバスか誰かの車。雨の日も風の日も雪の日もひたすら自転車を漕ぐ生活に比べたら、都会ってそりゃあ「垢抜けた」人たちがいっぱいだべ。何もかもが興味深い。楽しい。箸が転んでも笑う青春時代がもっと長引けば良かったのに・・・