「レギュラーで出られないのは引く時かなと感じた」と、引退の理由を語った宮本。34試合を残しての発表は、CS進出に望みをつなぐチームへの配慮だったという。 ヤクルトの宮本慎也内野手が8月26日、引退を正式に発表した。 宮本と初めてゆっくり話したのは、2003年の12月だったと記憶している。宮本を良く知るスポーツ紙のベテラン記者の紹介で、アテネ五輪日本代表のキャプテンという立場で話を聞かせてもらった。 そのときちょっと驚いたというか、こういう男なんだなと感心した言葉がある。 「僕は巨人をちょっと羨ましいと思うことがあるんです」 宮本がこう切り出して例に挙げたのが、「赤い靴下」の話だった。 ある試合の日。ヤクルトの中堅選手が真っ赤な靴下を履いて球場にやってきたのを見て、それに無性に腹が立ったというのである。 「だって……男が赤い靴下ですよ! どう思います?」 こう問われてちょっと言葉に詰まった。