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辰五郎は十五歳で淀屋五代目(九代目説などもある)当主となり、三郎右衛門を襲名した。 が、この物語では以後も辰五郎としておく。 「御立派になられて~。正装すると、お父さまの若い時にソックリ!」 母・阿豊は涙を流して喜び、番頭・半七は豪勢な袋に包まれたものを辰五郎に渡した。 「今日からこれは当主である坊ちゃまのものです」 「何これ?」 辰五郎が開けながら聞いた。 「坊ちゃまの実印です」 「何に使うの?」 「いざという時に坊ちゃまの責任で使うものです。坊ちゃまはまだお若いですから、それをお使いの時は、私かお母さまに相談してください」 「ふーん。つまり奥の手、『必殺技』なんだね?」 「そういうことです。それを使うのはよほどの時だけです。その印は淀屋のすべてのお金を扱う最も大切なものです。どうか、肌身離さずお持ちください」 「わかった。お金は大切だからねっ」 辰五郎はすぐに懐の奥に実印をしまった。
父・淀屋三郎右衛門重当が死んだとき、跡継ぎの辰五郎(広当)はわずか十歳であった。 そのため、とりあえず母・阿豊(おとよ)が店を継ぎ、番頭・半七(はんしち)が辰五郎の後見人になった。 半七は何も知らない辰五郎を一から教育した。 「半七。この箱の中にたくさん入っているものは何じゃ?」 「それは、『お金』というものです」 「何に使うのじゃ?」 「ものを買うときに使います」 「この山吹色に光っている、楕円(だえん)形の平べったいものは何じゃ?」 「それは金貨で『小判』といいます。一枚一両(りょう)の価値があります」 一両は現在の貨幣価値で数万~数十万円とされている(幕末にはさらに価値が低くなる)。今回はこの単位がよく出てくるが、この物語では一両≒十二万円とした。 「じゃあ、こっちの何かゴニョゴニョ墨書きされている一回り大きい金貨は何じゃ?」 「それは『大判(おおばん。判金)』です。一枚十両(約百二
淀屋(よどや)は江戸時代前期に大坂(大阪府大阪市)で栄えた豪商である。 初代淀屋常安(じょうあん。与三郎)は山城岡本(おかもと。京都市北区)荘出身の材木商で、豊臣秀吉の聚楽第(京都市上京区)や伏見城(京都市伏見区)築城に加わり、大坂に出て十三人町(大阪市中央区)に居住、屋号を「淀屋」とし、淀川の堤防工事や豊臣軍の兵糧運送などを任せられて大もうけした(「淀屋系図」参照)。 大坂の役では徳川家康の茶臼山(ちゃうすやま。大阪市天王寺区)本陣と徳川秀忠の岡山(おかやま)本陣を構築して献上、米や食料を買占め、うんかのように群がる徳川軍相手に商売をして、これまた大もうけした。 このとき、家康から褒美として山城八幡(やわた。京都府八幡市)の山林田地三百石を与えられている。 また、大坂落城時には、戦場の後片付けを申し出、戦死者の遺体を回収、武器や武具や着物や馬具など金目のものを接収し、これらを売りさばいて
文久二年(1862)十二月十二日夜、高杉晋作、久坂玄瑞ら十数名は、例の相模屋へ集合した。 九つ半時というので、正確には十三日の午前一時頃である。 「火付け役は福原乙之進、志道聞多、堀真五郎。残りの者は周囲を見張り、役人が近づいたら斬る」 で、作戦の最終確認を行った後、御殿山へ向かい、八つ時(午前二時頃)に英国公使館の敷地内に潜入した。 「誰もいないな。真っ暗じゃないか」 「ああ。英国人はまだ住んでいないが、建物はほとんど完成しているようだ」 「見張りの役人も見当たらない」 「火がつけば駆けつけてくるだろう」 「そろそろ見張りの役人の見張りの配置につこう」 高杉が、火をつけに本館の中に押し込んでいく福原らに声をかけた。 「我が退路を確保する。火がついたらすぐに逃げてこい。遅れるなよ」 「わかりました」 福原は砲術の専門家である。 この日のために彼は「爆弾」を作っておいた。 桐灰粉(きりばいこ
「私は日本の頂点に立った」 豊かなもみ上げを風になびかせながら、感慨深げにそう言った赤ら顔は、日本人ではなかった。 幕末の初代駐日英総領事オールコック(Rutherford Alcock)である。 「まるで日本のすべての民が、この私にひれ伏しているかのようだ」 万延元年(1860)七月二十六日、オールコックは日本一の高峰・富士山(静岡・山梨県境)に登頂した。彼は日本で初めて富士山に登った外国人なのである。今年(2010年)はそれから百五十周年ということで、静岡県富士宮市で記念式典が用意されているという。 「富士山に登りたい」 オールコックが言い出したところ、幕閣は慌て、何とか止めさせようとした。 「おやめください!」 「あの山には神がおわします(「山岳味」参照)!」 「女人が登っただけで嵐が起こるのです!」 「夷人(いじん)が登ったら何が起こるかわかりませんぞ!」 それでもオールコックは登
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