国際通貨基金(IMF)の筆頭副専務理事を2000年代に務めた米国の国際経済学者アン・クルーガー。長年にわたって世界経済を見つめ、かつての米国をよく理解する彼女は、友好国を追い込む現在の米国の通商政策は誤りだと訴えている。 米国の「通商政策」が同盟国を弱らせる 米国はいま、中国に対抗するために同盟国に協力を求めている。一方、その通商政策は無駄が多く、非効率であり、協力を得にくくしている。米国は補助金や保護主義的な貿易障壁を通じて「友好国」を弱体化させるのではなく、イノベーションや労働市場政策に焦点を当てて成長を促すべきだ。 2017年まで、世界最大の経済大国である米国の通商政策はその戦略的目標とうまく整合していた。他の追随を許さない軍事力を持つ米国は、欧州諸国などとの同盟を通じて安全保障を強化し、広い地域の繁栄を支えた。また、世界貿易機関(WTO)のような組織を通じてグローバルなリーダーシッ
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