6月25日付け日本経済新聞朝刊一面トップに、「上場企業4割実質無借金」という見出しの記事があります。 事実については、なんらコメントする必要はありませんが、小見出しと本文の一部に、「金利上昇には抵抗力」という、極めてファイナンス、しいては企業価値についての理解に欠けた「分析」があります。 これ、明らかに間違いです。 (最近、この手の資本コストに関する誤った理解の下の発言がメディアが伝えるケースが多いです。) 金利上昇によって上昇する資本コストは、有利子負債コスト(←つまり金利)だけではありません。 金利が上昇すれば、株主資本コストも同様に上昇します。 したがって、仮に無借金、または純有利子負債(=有利子負債-余剰現金)ゼロの場合でも、株主資本コストが金利上昇分上昇するので、企業価値は、その資本コスト上昇分下落します。 有利子負債コスト(金利)=リスクフリーレート+デット・リスク・プレミアム