辻広雅文(ダイヤモンド社論説委員) 【第24回】 2008年04月16日 後期高齢者医療制度が「現代の姥捨て山」と批判される本当の理由 私も先ほど、そう書いた。実は、それは間違いである。社会保障の専門家である西沢和彦・日本総合研究所主任研究員は、「これは、『制度』であって『保険』ではない。関連法律には、保険であるという表現は一切出てこない」と指摘する。保険であれば、運営責任者である「保険者」がいる。国保であれば、市町村が保険者である。保険者はその保険の財政責任を負わなければならない。保険者がいなければ、その運営主体は財政責任を負わない。つまり、給付抑制のインセンテイブが働かない。それが、最大の問題である。 この新制度の運営主体者は「広域連合」と言われる地方自治体である。耳慣れない言葉だが、都道府県単位の市町村連合のことである。例えば、国保も介護保険も市町村単位の運営である。それがなぜ、こ