4月にかけて起こった急激な円安・米ドル高は85円台で一息つきました。それはある意味で当然でしょう。為替など相場は実態経済の変化を先取りして動く傾向がありますが、別な言い方をすると、実態経済自体はそう簡単に変わらないからです。 たとえば、あの3月に76円台まで進んだ円高・米ドル安の原因は何だったでしょうか。1つのポイントは、米国の空前の金融緩和を受けて米ドルが「じゃぶじゃぶ」に溢れたということでしょう。 下のグラフ「ソロス・チャート」(注)は、日米中央銀行の資金供給量の差(ベースマネー比率)と米ドル円の関係を見たものです。これをみると、日米の資金供給量の差が空前の「米ドル余り」となり、その中で円高・米ドル安が広がってきたことがわかるでしょう。 3月の東日本大震災などを受けて、日銀も一段の資金供給拡大に動いたものの、空前の「米ドル余り」は、このグラフを見る限りまだ顕著な変化はありません。「米ド