万一、再び福島第一原発のような事故が起きて、放射性物質が周辺に大量に漏れたとき、次回は国は原発付近に住む住民をどう避難させるつもりなのか。これは同事故を発生時から取材し続けている私のような記者にとって、もっとも重要な関心事のひとつだ。同事故では、国の失敗から、23万人が放射性物質に被曝するという最悪の結果を招いたからだ。 洪水や土砂崩れのような「一般災害(知事や市町村長が避難指示を出せる)と違って、原子力災害では国(内閣総理大臣)が避難指示を出す権限を持っている。指揮命令ラインが長い。 福島第一原発事故では、それがトップから末端に至るまでミスに次ぐミスの連続で惨敗に終わった。過去6年半の報道でも明らかになっている。私も、これまで地元の避難民、市町村長や国(政治家・官僚)など当事者へのインタビューで、その失敗の連鎖を明らかにしてきた。 では、そうした失敗から、国は住民避難政策をどう改めたのか