0.前回までのあらすじ 1.「真の弱者」論 2.「キモくて金のないオッサン(KKO)」論 3.弱者性のブランド化、同情の再分配 4.同情(承認)争奪戦としての弱者論争 0.前回までのあらすじ 前回の記事で、人間には弱者や被害者の存在を否認することでこの世界を正常だと思い込もうとしてしまう心理的傾向があることを確認した。被害者や弱者にも責任があると思えば、この世界は変なことをしない限り酷い目に遭わないと錯覚できる。被害者や弱者の自己責任にしてしまえば、自分は何も考えなくても済むというわけである。そのような心理傾向は公正世界仮説と呼ばれる心理的誤謬であり、これが弱者叩き、被害者叩きの原因となることを前回の記事で解説した。 tatsumi-kyotaro.hatenablog.com 1.「真の弱者」論 今回はいくつかある典型例として、「真の弱者」論を取り上げたい。具体的には次のような主張がそれ