二歳程度の時のことを、人はどれくらい覚えているのだろうか。 自分のことを思い返しても、朧気な記憶しかない。私は外方者が凛の国に里を立てたくらいに生まれたらしい。だから放浪していた時のことなど覚えていないし。母様に抱かれていた時のこと、鉄や巽にあやされて遊んだ記憶くらいしかない。 それでも鮮烈に覚えているのは、母様が里に小さな花畑を作っていたことだ。よく私を連れて花の世話をしていた。 「お花はちゃんとお世話をしないとすぐ枯れちゃうの、だから私は毎日ここに来るのよ、いままでは旅をし続けていたからこんな事できなかったのよ、だから、雪、ちゃんとあなたもお世話をしてね」 長に名前をもらった次の日のことだ、母様は数カ月後に亡くなった。山で山菜や薬草を取っている時に山賊に襲われた。 「かかー、かかー?」 娘がよちよちと歩きながら私を探している。頭が重いのか、足が小さいからなのか、恐ろしいくらいに不安定に
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