技術を磨いた職人のこだわり もうずいぶんと前のことになるが、僕はある雑誌の「ハードディスク研究」という特集の撮影で東京郊外の東芝の事業所を訪ねたことがある。ここには各年代のHDDが保管されているので、それを古い順にすべて撮影させてもらい、「ハードディスクの変遷」というグラビアページにしようという企画だった。 ここでは各HDDの差がよく分かるように、上45度ぐらいの同じ角度から撮影することにした。最初に撮影したのが14インチHDD。かなり大きい。NTTに納品されたというそれは、金色のLPレコードを乗せたターンテーブルのような代物だった。これが高速でグルグル回るさまを1度見てみたいものだと思ったが、少しさびたそれは役目を終えて静かにたたずんでいるだけだった。 8インチHDD、5.25インチHDDと撮影を続けるうち、僕はファインダーの中の絵に違和感を感じるようになった。角度は三脚で固定されている