「風の電話ボックス」近くのベンチに座る佐々木格さん=4日、岩手県大槌町吉里吉里、仙波理撮影 風に乗せて、会えなくなった人に思いを伝えてください――。岩手県大槌町の庭師が震災後、自宅の庭に「メモリアルガーデン」を造り、「風の電話ボックス」を置いた。犠牲者や行方不明者の親族らの「心の復興」のきっかけになれば、と話す。 庭は10メートル四方くらい。祈りの像と、海岸に向けて腰掛けられるベンチがある。敷石の先に白い電話ボックスがあり、中にダイヤル式の黒電話。震災前から不要になったものを譲り受けて置いていたものだった。 「風の電話」は、佐々木格(いたる)さん(66)が震災前から考えていた。一人っきりになって電話をかけるように相手に思いを伝える空間で、実際の電話線はつながっていない。その電話機の横にはこう書いた。 「風の電話は心で話します 静かに目を閉じ 耳を澄ましてください 風の音が又(また)