外国人ジャーナリストに珍しく顔を見せるとき、 オサマ・ビン・ラディンは自分の手に視線を落とすのが常だった。 柔らかで少しかすれた声、優しいまなざし。 通訳を好まない彼がインタビューで伝えたのは、その顔と裏腹な言葉だった。 不信心者を殺すのはムスリムのつとめである。 2001年9月11日「ゴミのように」空を舞う不信心者を見て自分は心から愉悦を覚えた。 その容貌は、殺人者というよりも賢者を思わせた。 自らの手を血に染めることはほとんどなかったが、 愛用のカラシニコフはアフガニスタンの戦闘でロシア兵から奪ったものだという。 サウジアラビアのアメリカ基地、イエメンのアメリカ軍駆逐艦、ケニアとタンザニアのアメリカ大使館。 いずれの場合も「子供たち」の攻撃を遠方から見届けるのが彼の常だった。 賞賛されるテロリズムも批判されるテロリズムもある、と認めながら、 これは「聖なるテロ」だとしてイスラムを擁護し