岸田文雄首相が「資産所得倍増プラン」を打ち出している。「貯蓄から投資」を促し、経済を活性化するのが狙いだ。ただ、日本経済と企業の成長性が乏しいままでは個人マネーが米国株などに流出し、円安を一段と加速しかねない。また、家計の貯蓄が支えてきた日本国債の安定消化の構造を突き崩すリスクもはらむ。(時事通信経済部 編集委員・宮木建一郎) 岸田文雄首相=2022年5月、ロンドン【AFP時事】 市場と関係修復狙う 「インベスト・イン・キシダ(岸田に投資を)」。首相は5月上旬、英ロンドンの金融街シティーで講演し、看板施策「新しい資本主義」の目玉として、倍増プランを突如打ち出した。 日銀によると、2021年3月末で日本の個人金融資産約2000兆円のうち、54%が現金・預金で滞留。株式は10%にとどまり、米国(38%)との開きは大きい。この巨額貯蓄が株式などの投資に回り、投資先企業が成長すれば、家計には株の値