◆弱い装備「こりゃダメだ」 再三の門前払い めげずに説得 原子炉への注水にはもっとすごい装備が出てくると思っていたんだよ。でも出てくるのはヘリとか、消防車とか、デモ隊を散らす警察の放水車とか、そんなのばっかり。こりゃダメだと思ったよ。 大型コンクリートポンプ車を造るドイツのプツマイスター社の日本法人の社長をやってたから、ポンプ車の特徴は分かっている。誰も気付いてないなら、恥をかいてでも、自分が動かなくてはあかんと思った。 最初に行ったのは東京・築地の朝日新聞本社。マスコミなら何とかしてくれると思ったから。十七日の朝四時半に起きて、始発電車に乗り、埼玉県春日部市の自宅から一時間かけて向かった。守衛に「誰かに会わせて」と頼んだけど「取り次ぐことはできない」と、追い返された。 それから、近くの築地警察署に寄った。用意していたポンプ車の仕様書を見せて「こうすりゃ、大丈夫だから。上の人に伝えてよ」と