しばらく前に「からだの文化」の発表で、時代物マンガを扱い、そこで白土三平と忍者ブームに触れた。「忍者」や「忍法」という言葉は、少なくともマンガにおいては白土マンガ以来普及したもので、それ以前は「忍術使い」であり「忍術」だった(と思う)。そのことはかつて『夏目房之介の漫画学』所収「忍術使いから忍者へ」(初出「コミック・ボックス」83年)でも書いている。が、白土の忍者物は、戦後時代小説の忍者ブームの中で描かれている。小説の忍法物との影響関係については、よくわからない。以前から、これが気になっていた。それで、いくつかの小説を読んでみた。年表にすると、こうなる。 1955(S30)年頃~ 時代小説ブーム ※黒装束の忍者登場 未読 1956(S31)~57年 五味康祐『柳生武芸帳』「週刊新潮」連載 ※柳生忍者登場 未読 1957(S32)~58年 白土三平『嵐の忍者』『甲賀忍法帖』 1958(S33