日本経済新聞の記事(2010年5月15日付)によれば、台湾TSMCのモリス・チャンCEOは、「20年後に生き残っている垂直統合型半導体企業(IDM:Integrated Device Manufacturer)は米インテルと韓国サムスン電子だけ」と予測した。 筆者は、モリス・チャンの予測に安易にうなずきたくない。しかし、DRAMで日本半導体を抜き去ったサムスン電子の背中が、現在においても年々遠ざかっていることは疑いようもない事実である。なぜ、サムスン電子はここまで強大になったのか? サムスン電子が「メモリー王国」となった競争力の本質は サムスン電子の競争力の源泉には、李健熙(イ・ゴンヒ)会長の強力な経営手腕がある。1987年にサムスン・グループの会長に就任した李氏は、「妻と子供以外はすべて変えろ」をスローガンに新経営方針を提唱した(『サムスン高速成長の軌跡──李健煕10年改革』 キム・ソン