全国で年五万人以上に上る高校中退者。中退後、アルバイトなどで働く若者も多いが、高卒資格がないと就職も難しい。「せめて高卒資格は」「転校したい」-。高卒支援会への相談件数は増加傾向で、最近は年間三百件もあるという。 ケイコさん(18)=仮名=も二年前、高校一年生のときに首都圏の県立高校を中退した。理由はいまだに分からないが、クラスの女子全員から無視され、あいさつもしてもらえなくなった。先生に相談すると、いじめはひどくなり、ネットの掲示板に「バカ、死ね」などと書かれるようになった。一学期が始まったばかりで不登校に。別の県立高校への転学を願ったが、難しいと知った。 県教育委員会の担当者は「いじめなら、まずは学校できちんと対応する必要がある。高校は義務教育ではないので、不登校になったからといって、簡単には転学は認められない。安易な転学は、試験で不合格になった生徒に説明できない」と言う。
都内の高校二年生アキラ君(16)=仮名=は昨年四月、難関の私立男子校に入学した。塾通いは小学四年生から。中学受験には失敗したが、高校で念願の進学校に合格した。ところが「受験で頑張りすぎた反動で、勉強をサボってしまった」。 進級の条件は厳しかった。各教科の平均点が一定以上-などのボーダーラインがあり、一学年で毎年十数人程度の留年者が出るという。「昔は、もう少しおおらかで厳しくなかったらしいが…」とアキラ君。一学期に学年最下位レベルに。その後、取り戻そうと焦って勉強したが、成績は振るわなかった。 三学期末に留年が決定。同校に新入学する一つ下の弟と同じ学年になる。多感な十代の自尊心は激しく揺さぶられた。悩んだ末に、選んだのはドロップアウト。つまりは中退だった。「父親は『おまえの人生終わったな』って感じで…。自分も同じ思いでした」。 高校中退者を支えるNPO「高卒支援会」(東京)代表の杉浦孝宣さん
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く