1951年広島生まれ。81年「さようなら、ギャングたち」が群像新人長篇小説賞優秀作 に。 88年『優雅で感傷的な日本野球』(河出書房新社)で第一回三島由紀夫賞を、 2002年『日本文学盛衰史』(講談社)で伊藤整文学賞を受賞。 » プロフィール詳細 » コラム一覧 2007-09-22 号 高橋 源一郎(作家) 「カラキョウ」と聞いて、最初のうちは、なんのことだかわからなかった。どうも、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』のことらしいのである。 なんでも略すればいいというものじゃないが、それにしても、『カラマーゾフの兄弟』が『カラ兄』とはねえ……と、しばらく呆然とした。 『カラマーゾフの兄弟』とは、長い間(もしかしたら、いまも)、世界文学の№1と目されてきた。長く、深く、巨大な、深淵そのものの小説と思われてきたのである。もちろん、ぼくもそのように教わった。深刻・難解なロシア小説の中でも最