落語「花見小僧」の舞台を歩く 春風亭正朝の噺、「花見小僧(おせつ徳三郎・上)」によると。 ある大店の一人娘の”おせつ”が何回見合いをしてもいい返事をしない。それは”おせつ”と”徳三郎”という店の若い者と深い仲になっているらしいと御注進があった。本人や婆やさんに聞いても話はしないだろうから。主人は花見の時期に娘と徳三郎にお供をした小僧から二人の様子を聞き出そうとした。が、小僧も利口者で簡単には口を開かない。「子供の物忘れはお灸が一番」と足を出させ、宿りを年2回から毎月やるし、小遣いを増やしてやるからと、少しずつ口を開かせた。 去年の春のことで忘れたと言いながら、白状するには、「婆やさんと四人で柳橋の船宿に行きました。お嬢さんと徳どんは二階に上がり、徳どんは見違えるような良い着物を着ていました。船に乗って隅田川を上り、向島・三囲(みめぐり)の土手に上がりました。その先は忘れました」。「そんなこ
落語「二番煎じ」の舞台を歩く 八代目三笑亭可楽の噺、「二番煎じ」(にばんせんじ)によると。 江戸は火事ばやい所で、江戸名物として「武士鰹大名小路広小路、茶店紫火消錦絵、火事に喧嘩に中っ腹」なんて言われた。火事が入っていて、非常に火事早い所だった。明暦の振り袖火事や、明和の行人坂から出た火事は江戸中を焼いたくらいです。 火事の夫婦が相談しています。こんなに消防が発達すると燃え上がることも出来ない。いっそ田舎に行って燃え上がろうと相談が決まった。それを聞いていた子供が「ボヤも行くよ」。 当時番小屋に番太郎がいて夜回りしていたが、ルーズなことから旦那衆が回ることになった。しかし、これも回らないことがあったので、役人が見て回った。 番小屋の旦那衆は、班を二つに分けて、交代で回ると寒い思いも少なくて良いので、私は先の班の長になって回ります、と言うことで 第一班が出掛けた。 寒(かん)の冷え込みは身に
落語「夢金」の舞台を歩く 古今亭志ん朝の噺、「夢金」(ゆめきん)によると。 雪の晩、浅草の船宿に一癖有りそうな武家の兄と、姿造りイイ妹連れが深川まで屋根船を頼みに来た。 夢の中でも「金欲し~い・・。200両ぉ~、100両ぉ~でもいい~、」と言うぐらい欲張りの船頭”熊蔵”が一人だけなので、主人も断ったが、酒手を弾むからと仮病も引っ込め船を出した。 大川に出て雪の中、船を進めるがいつまで経っても酒手が出ない。中を覗くと男は女を飽きずに覗き込んでいるので、酒手を弾めば陸(おか)に上がってやるのにな~と、思っていたが相変わらず酒手は出ない。船を揺すると中に入れとの言葉、酒手が出ると思い中に入ると、欲張りを見込んで金儲けを勧められる。 女は妹ではなく花川戸で会った娘。男を追って家出した娘で、男の居場所を知っているからと誘い出してきた。金を持っているので殺し金を奪って、駄賃を2両くれるという。武士が泳
落語「文七元結」の舞台を歩く 柳家小三治の噺、「文七元結」(ぶんしち もっとい)によると。 本所達磨横丁に住む左官の長兵衛が今日も博打に擦られて帰ってくると、十七の娘”お久”がいないという。お長屋中が探したが分からない。吉原の佐野槌(さのづち)から使いが来て女将さんが呼んでいるから直ぐ来て欲しいと言う。お久さんは当家にいるから同道してと言うが、尻切れ半纏1枚しか着ていないので、無理矢理女房の着物をはぎ取って、吉原へ。 佐野槌に着いてみると、女将の脇にお久がいた。 博打が過ぎて家財道具は無くなり、借金がかさんで夫婦げんかは絶えず、どうしようもないので、女将さんから説教してくれと言う。話を聞いて50両の金を貸し渡す。その替わり、お久の身体は預かって女一通りの事は習わすが、来年の大晦日を1日でも過ぎると見世に出して、客をとらせるよ。娘が言うには、「その金で帰りに変な所に寄ったりしないで、お母さん
落語「浜野矩随」の舞台を歩く 立川志の輔の噺、「浜野矩随」(はまののりゆき)によると。 江戸は寛政年間、浜野矩康(のりやす)という腰元彫りの名人がいた。その名人が亡くなって奥様と一人息子の矩随が残された。先代の時は浜野家の前に道具屋が列をなしたと言うが、息子の代になって誰も相手にしなくなった。それは矩随の作がヘタで作品と言われる以前の問題であった。しかし、一人、芝神明の”若狭屋甚兵衛”だけは先代に世話になったからと息子の作品をどんなものでも1分(いちぶ)で買い上げた。 今朝も若駒を彫ってきたと言うが3本足であった。眠気が来て足1本を彫り落としてしまったという。その心魂に呆れ、若狭屋は言いたくない事ではあったが言った。「ミカン箱に13箱こんなゴミ作品ばかり溜まっている。河童狸は頭に皿を乗せているが、下は狸だ。小僧達はこれを見て笑っている。下手な作品を作るくらいなら死んだ方がイイ。これからは縁
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く