メリーランド大学の板倉光海外学振特別研究員、水産・研究教育機構の三宅陽一主任研究員、神戸大学大学院理学研究科の佐藤拓哉准教授、東京大学大気海洋研究所の北川貴士准教授、木村伸吾教授からなる研究グループは、胃内容物分析と炭素・窒素安定同位体分析 (注) により、雨の日やその後に土壌中から地表へ這い出て川へ入ってくるミミズが、大型河川の下流域に生息する捕食魚 (ニホンウナギ) の重要な餌資源になっていることを初めて明らかにした。ミミズは川釣りで最も良く利用される餌の一つであるが、河川生態系内での餌としての役割については十分に理解されていなかった。この降雨に駆動されるミミズのパルス的な資源流入は、河川下流域における主要な系外資源流入の経路であると考えられる。また、川岸がコンクリート護岸によって覆われると、河川へのミミズの供給が阻まれ、陸域–河川生態系の重要な繋がりが断ち切られる可能性も示された。