テッポウエビが発する音によってカキの幼生を新たな岩礁に誘導できる カキ礁はかつて多くの海底を一面に覆って海水を濾過し,海岸線を安定に保ち,膨大な生物のすみかとなっていた。だが過去200年間に,底引き網漁船が世界のカキ礁の大半を破壊してしまった。そんななか,豪アデレード大学の研究チームが最近のJournal of Applied Ecology誌で,カキ礁の再建に役立ちそうな興味深い事実を明らかにしている。カキの幼生がエビが発する音を追いかけているのだ。 テッポウエビの発砲音 オーストラリアヒラガキの小さな幼生は海中を漂い,髪の毛のような繊毛を使って泳ぎながら,その後の一生を固着して過ごす硬い表面を探す。定着先としては他のカキの殻でできた大きなカキ礁が理想だが,近くにそれがない場合,幼生は砂地の海底の上をあてどなく漂い続ける。海底に孤立するはぐれ岩を見つけてすみ着けるのは,ごく一握りの幸運な