ロボットの夢の都市 (創元海外SF叢書) 作者:ラヴィ・ティドハー東京創元社Amazonこの『ロボットの夢の都市』は、第二次世界大戦直前に世界各地に現れた異能力者たちの暗躍を陰鬱なトーンで描き出す『完璧な夏の日』や、ヒトラーが失脚しロンドンに移り住んで探偵になった日々を描く歴史改変SFの『黒き微睡みの囚人』で知られるラヴィ・ティドハーによる、未来史長篇だ。近現代史をテーマにしてきた過去の邦訳作と比べると、本作はストレートに人類の未来をSF的に描き出している。 印象的な砂漠と土色で巨大な人型ロボットが描かれた表紙が印象的だが、まさに舞台は砂漠の街(ネオムといい、実在する)であり、そこで暮らす人々とロボットの姿、また数百年前に起こった太陽系を巻き込んだ大戦争とその顛末がじっくりと描きこまれていく。物語の本筋は、とあるロボットが砂漠から掘り起こした”ヤバいブツ”が街の住人を巻き込んだ騒動に発展し