前にも記しましたが、2008年は「高年齢層向けのライトノベル」というものが明確に意識されてきたように思えます。 朝日ノベルス、幻狼ファンタジアノベルス、メディアワークス文庫などのレーベルが創刊(予定)され、明らかに大人向けを狙った作品も急増しています。 ここでは、作品とレーベルの紹介を交えながら大人向けラノベの動きを捉えます。 一般文芸への越境がスタートになった 2008年は、桜庭一樹の直木賞受賞や有川浩の星雲賞受賞など、「ライトノベルからの越境」が成熟してきた年といえます。「これまでは越境なんて極稀」だったのですが、ここ数年に入ってバブルのように急増してきたように思えます。昔はほとんど「ライトノベルを一般文芸に移籍」したものがなかったのですが、2004年以降は『十二国記』や『古典部シリーズ』、桜庭一樹の諸作品など、移籍作品が急増しています。いずれにも共通するのは大人の鑑賞に堪え得る文芸作