私は金田一少年になりたい。 大の大人がこんな場所で言うことではない。しかし『金田一少年の事件簿』を読みかえすたび、私は金田一少年になりたいと思ってしまう。とにかくこの男にあこがれる。本当にいい役回りだと思う。いくらなんでもおいしすぎると思う。 金田一少年とはどんなキャラクターなのか。まずはそれを説明しておいたほうがよさそうだ。 この男のベースにあるのは「不真面目さ」である。高校の授業をサボる。弁当を早食いする。女好きのスケベ。典型的な落ちこぼれ。それが金田一少年である。 強調しておきたいのは、この時点で「最高」だということである。少年マンガの舞台として「学校」が採用されたとき、主人公に要求されるもっとも格好いい振舞いは何か? それが「優等生」であるはずがない。まともに勉強しないことである。「不良マンガ」は数あれど、「優等生マンガ」など存在しないことでもそれは分かる。だからこそ、金田一少年も