改良もカーネルへ統合されなければ保守コストを生む 答えを明かせば,“中央線”とは組み込み向けの機能や改良を,Linuxのカーネルに正式な機能として統合されるようにすることの難しさを表したものだ。Linuxはもともとデスクトップやサーバー向けに開発されており,組み込みへの適用は比較的最近始まっている。そのため「カーネルのメインストリームを山手線とすると,組み込みは中央線。山手線は常に都心を回るが,中央線は毎回高尾から出発しなければならない」(上田氏)。 正式にカーネルに取り込まれなければ,カーネルのバージョンが上がるごとに機能を組み込み直さなければならない。テストもやり直しだ。あるいは,その機能を実現するために使用していた関数の仕様が変更されたりすることもある。 難しいのは,単に優れた機能を実装するだけでは不十分,という点だ。Linuxカーネルに対しては,日々膨大な改善提案やコードが寄せられ
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