推理作家の泡坂妻夫は、長く東京都豊島区に住んだ。同区立中央図書館では現在、彼の作品原稿や著作などを展示する「泡坂妻夫展」を開催中(5月24日まで)。 創作マジックの研究家でもあった泡坂は、仕掛けに凝った作家だった。筆者にとっては袋とじのページをナイフで開き読む仕掛けだった1976年初版の「11枚のとらんぷ」が懐かしい。お笑いコンビ、ピースの又吉直樹などがテレビで勧めたのも一因か、現在でも旧著が書店で平積みになっている。 図書館へは泡坂の住んだ大塚から、唯一残る都電の荒川線を使って行くのがゆったりできてお勧め。東池袋四丁目駅で降りて数分、東京メトロ有楽町線の東池袋駅からもすぐだ。 展示物では原稿のみでなく、創作ノートも貴重な資料だといえる。几帳面な字で下書きをし、上部は戯曲のように空白スペースを取り、小道具の自筆イラストなどを巧みに描いている。 書籍展示では表紙に紋意匠がデザインされた「奇術