日本のすばらしい特質と 私がまだアメリカの大学生だった1980年代、日本は世界の中で「輝き」を放っていた。好意的には「サクセスストーリー」であり、警戒心の立場からは「異質」「脅威」とみられていた。かくも激論の対象になる日本を自分の目で見てみたい、私はこんな単純明快な理由で今からちょうど30年前の1990年7月に来日した。 当初は、日本政府の国際教育交流事業、JETプログラムで、兵庫県の多可郡中町(現・多可町)の中学校の英語指導助手に赴任し、2年間過ごした。その後さらに日本に関わりたく、神戸大学大学院法学研究科(五百旗頭眞教授の研究室)に進んだ。 日本に来たいと思った当初の疑問の答えはすぐに見つかった。日本の国力の原点は、人々とその社会だ。勤勉さや真面目さ、礼儀正しさ、地域社会・組織志向、助け合いの重視、我慢強さ、といった特徴だ。 これらはほかの国にもある要素だ。しかし、50カ国以上を訪問し