「そこは日本なのに。今、日本人が住むことができない場所。ほら、こんなに近いのに……。北方領土は日本固有の領土です」 そんなナレーションとともに、真っ白いキャンバスに見立てた画面には、北海道本島から見てわずか16km程度しか離れていない国後島の稜線と、それを眺める少女がパステル鉛筆でササッと描かれる――。 今年は例年にも増して、2月7日の「北方領土の日」を知らせる政府広報を多く目にしたのではないだろうか。2009年の鳩山政権時におこなった「事業仕分け(行政刷新会議)」により、大幅な予算カットを余儀なくされた政府広報番組が軒並み姿を消したため、このように同種の政府広報が繰り返しテレビで流されるというのは久々のような気もする。 今年が戦後70年の節目に当たるだけでなく、現在、安倍政権が推し進めている対ロシア外交の先を見据えて、このタイミングで北方領土問題を広く国民の間に啓発することが目的であるこ