ダニエル・チャンドラーは新著『自由と平等』で、格差のない社会を実現するために、企業内のヒエラルキーを見直し、従業員により多くの権限を与えるべきだと訴える。『21世紀の資本』で知られるトマ・ピケティや、ノーベル経済学賞受賞者のアマルティア・センらに高く評価された気鋭の経済学者を、英紙が取材した。 企業を動かしているのは、誰か? コロナ禍が落ち着いた後、「柔軟な働き方を求める従業員の声に応え、自由主義的な価値観を擁護しなければならない。従業員のメンタルヘルスや、個人的な事情に配慮する必要もある」と嘆く経営者は多い。ミレニアル世代やZ世代はこうしたことを企業に期待するからだ。 だが、経済学者のダニエル・チャンドラー(37)に言わせれば、このような要求を聞き入れてもらえるのはホワイトカラーの高給取りのみだという。 英国企業の場合、権限を握っているのはたいてい経営のトップだ。ドイツやフランスでは、企